ありえん暑い

 あまりの暑さに脳のタンパク分が煮えたから日記を書く。全世界公開のデジタルタトゥーを自ら作り出すなんて脳が煮えでもしないと行われない営みだと思う。

 

 毎日熱中症になりかけている。昨日も昼間はまったく使い物にならなかった。今日も昼間を乗り切ったと思ったら、日が沈んだ後に立ち上がるたび立ちくらみが起きる。日中のダメージ蓄積がバカにならないのだ。今日は塩分も炭水化物もたんぱく質も脂質も摂れていたため、なんだ、何が足りなくてこうなんだと慌ててきゅうりやバナナを食べ牛乳を飲み1時間ほど安静にしたところ立ちくらみは消えた。水分か。純粋に水分が足りていなかったのかも。あとミネラルか。

 

 たまたま立ち寄ったリサイクルショップで安い冷風機や除湿機を眺める。先日、貧困で子を優先するあまり自分は栄養失調に陥っている母親が加工肉を買っている番組がバズり、生肉の方が安いのにだから貧困なんだとSNSでご高説を垂れる人々がいた。その人々は百均で冷感グッズを買ったり楽器の練習でカラオケボックスを検討したりしているわたしに向かって「エアコン買えばいいのに」と言うのだろう。

 

 諸事情で趣味のライブの配信すら買わなくなっているわたしにエアコンを買う思い切りは無理だ。大体お金以前の問題で家がゴミ屋敷のためエアコン設置業者の足場が用意できない。北海道もあと10日はこの暑さが続くという。昼間に家の中で何かをするのも無理だ。いっそ昼夜逆転すれば少なくとも起きている間に家で何もできないというほどではなくなるだろうが、うちには残念ながら昼夜逆転させるとまずい未成年の家族がいる。夏休みの間いちかばちかで昼夜逆転させ2学期開始とともに戻すことが可能であればそうしても良いかもしれないが、失敗するとおそらくもう学校に行かなくなる。たぶん普通の家では良いかもしれないとは微塵も思わない選択肢ではあるだろうが、それを本気で考えるほどにこの暑さの中エアコンのない家で過ごすのは無理だ。

 

 要請メールが来たので明日献血に行くことにしたのを少し後悔している。この気候の中この体調ではたして無事でいられるだろうか。献血の問診で今日の体調は良好ですかと聞かれ良好ではありませんと答える勇気のある者は名乗り出よ。最初から予約をしなければ良かったというのはそれはそうですね。しかし献血ルームはエアコンが効いているに違いなく、付き添いという名目で未成年の家族をこの地獄の家からエアコン天国へ連れ出せる機会に飛びついてしまった。血を売ってまでエアコン環境を享受したいのか。したい。したいに決まっている。それほどまでに今年の夏は暑い。

 

 夏の暑さに耐えきれなくなり遂に扇風機を買ったのすらたかだか数年前なのに。今夏がこの先100年で一番涼しい夏でした、なんてことになったら本当に絶望する。

 

 老猫の酷暑への適応も気になる、もう老猫のためという名目で来年の夏までにはエアコンをつける、もしくはエアコンのある家に引っ越す。決めた。だがそれにはゴミ屋敷を片付けなければならない。ああ……。独りになって昼夜逆転で解決したい。地球温暖化離婚。持続可能な家族生活。SDGs18番目の目標として今ここに掲げます。